飲食店や商店ののれん素材で広く使用されているダック地などは、厚手のコットン生地で知られています。この生地は綿糸を縦横に交互に織り込む平織りという手法で作られており、シンプルな織り方ながら非常に丈夫で耐久性に優れているのが特徴です。
カンバスファブリックの歴史は古く、もともとは帆船の帆に使用されていた生地でした。強い風にも負けない耐久性と水を通しにくい密度の高さが求められたため、厚手で丈夫な生地が開発されたのです。現在では帆船の帆でだけでなく、テントやバッグシューズなど幅広い用途に使われています。
のれん生地にコットンキャンバスが選ばれる理由は、何といってもその耐久性の高さにあります。のれんは出入りの多い場所に設置されるため生地が擦れて破れてしまうことがありますが、カンバスファブリックなら長期間の使用にも耐えられます。ダック地などは厚手の生地なのでしっかりとした重みがあり、風で大きく揺れてしまうこともありません。
カンバスファブリックののれン生地は、使い込むほどに味わいが出てくるのも魅力の一つ。最初はやや硬い質感ですが時間とともに生地が柔らかくなり、独特の風合いが生まれます。この経年変化を楽しめるのは、コットンキャンバスならではの特権と言えるでしょう。
のれん生地によく使われる帆布とキャンバスの違いは?
のれんの生地で人気の高いダック地などはキャンバスと混同されることがありますが、両者には明確な違いがあります。
のれん生地はカンバスファブリックと同じくコットン生地の一種ですが、コットンキャンバスよりも薄手で軽量なのが特徴です。絵画の支持体でも使用されるキャンバスは柔らかい質感と適度な弾力性を持っており、布の目が比較的粗いのが特徴です。一方カンバスファブリックは厚手で重量があり密度が高いため、キャンバスよりも丈夫で耐久性に優れています。
生地で使用されるダック地などは、生地の厚さを表す号数によって分類されていると言えるでしょう。その数は生地の重さを表す単位で、数字が大きいほど生地が厚く重くなります。一般的に、6号から10号のカンバスファブリックが使用されます。
8号以上の厚手のコットンキャンバスは、重厚感のあるのれンに仕上がります。食事処やバーなどの店舗に適しており、高級感を演出できます。一方6号程度の薄手のカンバスファブリックは軽やかな印象ののれンになるため、カフェやベーカリーなどに好まれる傾向にあります。
店舗ののれン選びでは、この数を確認することが大切です。用途や好みのイメージに合わせて、最適な厚さのダック地などを選びましょう。厚手の生地が好みなら8号以上を、軽やかなイメージを求めるなら6号がおすすめです。